薬剤師のとだ先生こんにちは、薬剤師のとだです。
「食事量は変わっていないのに太る」「下腹だけが落ちない」――そんな“更年期太り”を感じていませんか?
その原因の多くは、女性ホルモンの低下による代謝の変化にあります。
そして、ここで注目したいのがDHA(ドコサヘキサエン酸)。
DHAは「脳の栄養素」として知られていますが、実は脂肪の燃焼や代謝維持にも関わる成分です。
この記事では、更年期に太りやすくなる仕組みと、DHAが代謝を助けるメカニズムを解説します。
この記事の「結論」!!
・ 更年期太りは、エストロゲン低下による脂肪代謝の低下が主な原因。
・ DHAは脂肪燃焼・炎症抑制・筋肉維持を通じて代謝をサポートする。
・ 食事やサプリで1日1g前後のオメガ3(DHA+EPA)を摂ることで、太りにくい体づくりに役立つ。
1.DHAとはそもそも何?
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、青魚やクリルオイルに多く含まれるオメガ3脂肪酸の一種です。
脳や神経に多く存在し、情報伝達をスムーズにする働きで知られています。
しかし近年では、**脂肪代謝や筋肉機能にも関与する“代謝サポート脂肪酸”**として注目されています(※1)。
2.なぜ更年期に太りやすくなるのか
更年期を迎えると、エストロゲン(女性ホルモン)が急激に減少します。
エストロゲンは脂肪分解酵素(HSLやCPT-1)を活性化し、脂肪をエネルギーとして使う働きを持っています。
そのため、ホルモンが減ると脂肪が燃えにくくなり、内臓脂肪や皮下脂肪が蓄積しやすくなるのです(※2)。
さらに、筋肉量の減少や炎症の亢進も相まって、代謝が落ち、体重が増えやすくなります。
3.DHAが脂肪燃焼を助ける理由
① ミトコンドリアを活性化して「燃える体」に
DHAは筋肉細胞内のミトコンドリアを活性化し、脂肪酸の酸化(燃焼)を促進します。
EPAとともに、脂肪代謝遺伝子(PPARα、CPT-1など)の発現を高めることが報告されています(※3)。
② 炎症を抑えて代謝を守る
更年期以降は体内で炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6など)が増加し、代謝低下や脂肪蓄積を促します。
DHAは抗炎症性代謝物(レゾルビン、プロテクチン)を生み出し、脂肪組織の炎症を抑制。
結果として、インスリン抵抗性の改善・代謝の正常化につながります(※4)。
③ 筋肉を守って基礎代謝を維持
DHAやEPAは、筋肉タンパク質の分解を抑制し、筋肉量の減少(サルコペニア)を防ぐ可能性があります(※5)。
筋肉を保つことで基礎代謝が維持され、エネルギー消費の低下を防ぐことができます。
4.具体的なエビデンス(研究結果)
脂肪燃焼促進作用
Kimらの研究(※3)では、DHA摂取群で脂肪酸酸化関連遺伝子(PPARα, CPT-1)が上昇し、脂肪燃焼が促進された。
代謝性炎症の抑制
Ohら(※4)は、DHAが脂肪細胞の炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-6)を抑えることを発見。
筋肉維持作用
Smithら(※5)は、高齢者にDHA+EPAを24週間投与し、筋肉タンパク質合成が有意に増加したと報告。
5.まとめ
更年期太りは、ホルモンの変化によって「脂肪が燃えにくく、筋肉が減りやすい」状態になることが原因です。
DHAはその両方に働きかける、代謝を助けるオメガ3。
青魚やクリルオイル、またはサプリメントを上手に活用し、
“太りにくい更年期”をつくる新習慣を始めましょう。
参考論文
※1 Calder PC. Omega-3 fatty acids and metabolic health. Biochim Biophys Acta. 2015;1851(4):469–484.
※2 Lovejoy JC, et al. The menopause and obesity. Prim Care. 2003;30(2):317–325.
※3 Kim J, et al. Fish oil supplementation increases mitochondrial oxidative capacity in human skeletal muscle. Am J Physiol Endocrinol Metab. 2014;307(8):E767–E775.
※4 Oh DY, et al. GPR120 is an omega-3 fatty acid receptor mediating anti-inflammatory and insulin-sensitizing effects. Cell. 2010;142(5):687–698.
※5 Smith GI, et al. Fish oil–derived n-3 PUFA therapy increases muscle protein synthesis in older adults. Am J Clin Nutr. 2011;93(2):402–412.













