
健康に関する情報は世の中にあふれていますが、正しい知識を見極めることが大切です。薬剤師の立場から、科学的根拠に基づいた情報を分かりやすくお伝えします。
この記事の「結論」!!
- DHA・EPAは青魚に多く含まれる必須脂肪酸で、食事やサプリからの摂取が必要
- 心血管の健康維持や炎症の抑制など幅広い効果が研究で示されています
- 魚からの摂取だけでは難しく、質の良いサプリメントを組み合わせるのが◎
1.DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)の基礎知識
DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、青魚に豊富に含まれる脂質(オメガ3脂肪酸)です。
人の体内ではほとんど合成できない必須栄養成分(脂肪酸)の一種であり、健康維持のために食事やサプリメントから摂取する必要があります。
2.DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)の健康効果
EPAやDHAは世界中で研究されていて、体のさまざまな部分に良い影響があることが分かってきています。
・ 心臓や血管の健康に役立つ
中性脂肪やコレステロールを減らし、動脈硬化を防ぐ働きが報告されています。EPAは特に血液をサラサラにし、血管を守る力が注目されています。【Banaszak, 2024】【Sherratt, 2023】
・ 炎症をおさえる
体の中で起こる慢性的な炎症をやわらげる作用があり、アレルギーや自己免疫のトラブルにも関係していると考えられています。【Patted, 2024】
・ 脳や神経のサポート
DHAは赤ちゃんの発達から大人の脳や目の健康まで大切な役割を果たしています。記憶や考える力を守る助けになるといわれています。【Swanson, 2012】
・ 運動やスポーツにもプラス
筋肉の炎症をおさえ、疲れの回復を助けたり、神経の働きを守ることでパフォーマンスの維持にも役立つ可能性があります。【Tomczyk, 2023】
3.EPA・DHAを多く含む食品と摂取のコツ
EPAやDHAはサバ、イワシ、サンマ、サケなどの青魚に多く含まれています。理想的には、週に数回は魚料理を取り入れることで必要量をまかなうことができます。しかし現実には、忙しい生活の中で毎日十分な量の魚を食べるのは難しいのが実情です。
そのため、魚からの摂取に加えてサプリメントを活用するのも効果的な方法です。サプリを選ぶ際には、酸化しにくい工夫がされているものや、吸収効率を高める工夫(リン脂質型配合:クリルオイルなど)がされているものがおすすめです。こうした配慮があるサプリメントを選ぶことで、DHA・EPAをより効率的に日々の健康管理に役立てることができます。
魚料理を楽しみながら、不足しがちな分をサプリで補う――そのバランスが、DHA・EPAを無理なく続けるコツといえるでしょう。
以上
参考論文
- Swanson D, Block R, Mousa SA. Omega-3 fatty acids EPA and DHA: health benefits throughout life. Adv Nutr. 2012;3(1):1-7. doi:10.3945/an.111.000893
- Patted S, et al. Omega-3 fatty acids and their role in autoimmune and inflammatory diseases. Future J Pharm Sci. 2024;10(1):41.
- Banaszak M, et al. The effect of omega-3 fatty acids on lipid profile and insulin resistance. Clin Nutr Metab. 2024.
- Sherratt MJ, et al. EPA incorporation into atherosclerotic plaque and its stabilizing effects. Cardiovasc Res. 2023;119(18):2884-2896.
- Tomczyk M, et al. Omega-3 fatty acids and exercise: implications for athletes. Nutrients. 2023;15(23):4925.
- NMI. EPA & DHA: A review of clinical use and efficacy. 2024.
- Calder PC, et al. Bioavailability of EPA and DHA from different forms and the impact of food. Prog Lipid Res. 2024.