30代女性に不足しやすい栄養と美容の関係 ― 薬剤師が解説します

薬剤師のとだ先生

30代の女性は、日々の忙しさや食習慣の乱れから、栄養不足になりやすい年代です。正しい知識を持ち、科学的根拠に基づいて栄養を補うことが、美容と健康を維持するカギになります。

この記事の「結論」!!

  • 30代女性は野菜不足や朝食欠食が多く、ビタミン・ミネラル・たんぱく質が不足しやすい
  • 脂質の摂りすぎと同時に、肌や髪を作る栄養が足りないため、美容トラブルにつながる
  • 美容を支えるには、DHA・EPA、ビタミンA/D/E、アスタキサンチン、MCTオイル、コリンといった成分を意識的に補うことが有効
目次

1.30代女性に不足しやすいものとは?

30代女性の食生活にはいくつかの偏りが見られます。

1.野菜・副菜の不足によるビタミン・ミネラル不足
 厚生労働省が推奨する1日の野菜摂取目標量は 350g ですが、30代女性の平均摂取量は 220g程度 にとどまり、約130g不足 しています(※1)。この不足はビタミンやミネラル、食物繊維の欠乏につながり、健康と美容の両面に影響を及ぼします。

2.脂質の過剰と、たんぱく質・食物繊維不足の同時進行
 30~40代女性では、1日のエネルギーに占める脂質の割合が 30%を超える人が約半数 を占めています(※2)。その一方で、たんぱく質・カルシウム・鉄・食物繊維といった基礎的な栄養素が不足している人が多いのも現実です。つまり「脂質の摂りすぎ」と「必要栄養素の不足」が同時に進行しているのです。

3.朝食欠食率の高さと体への影響
30代女性のおよそ3人に1人(約33%)は朝食を抜いているというデータがあります(※3)。朝食を抜くと1日のエネルギーやたんぱく質が不足しやすくなり、基礎代謝の低下や筋肉維持の難しさにつながります。

2.不足しやすい栄養と美容の関係性

「美容」とは、外見だけを整えることではなく、肌・髪・体型・若々しさを内側から支える健康美を意味します。30代女性が不足しやすい栄養素は、そのまま美容トラブルに直結しています。

野菜不足と美容

  • ビタミンAが不足すると、肌や粘膜のターンオーバーが乱れ、乾燥やニキビが出やすくなります。
  • ビタミンCが不足すると、コラーゲン合成が低下し、しみやしわが増える原因になります。
  • 食物繊維不足は腸内環境を乱し、肌荒れや吹き出物の温床になります。

脂質とたんぱく質のアンバランスと美容

  • 脂質の摂りすぎは皮脂分泌の増加を招き、ニキビや毛穴トラブルにつながります。
  • たんぱく質不足は、肌のハリや弾力を支えるコラーゲンや、髪を構成するケラチンの材料不足となり、美肌や美髪を損ないます。

朝食欠食と美容

  • 朝食を抜くと代謝リズムが乱れ、基礎代謝が低下し、顔色のくすみやむくみにつながります。
  • さらに筋肉量が減少しやすくなり、痩せにくく太りやすい体質を招きます。

👉 このように、30代女性の栄養不足や生活習慣の乱れは、美容の基盤そのものを揺るがしているのです。

3.美容に役立つ栄養素と補い方

30代女性の美容を守るためには、毎日の食生活で不足しやすい栄養素を意識的に補うことが大切です。特に次の成分は、美容に直結する重要な栄養素です。

DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)

青魚に多く含まれる必須脂肪酸で、血流を改善し、炎症を抑える作用があります。血流が良くなることで肌のくすみを防ぎ、炎症を抑えることでニキビや肌荒れの予防にもつながります(※4)。また、心身の安定や集中力にも役立ち、忙しい30代女性を内側から支えます。

ビタミンA・D・E

  • ビタミンA: 肌や粘膜のターンオーバーを正常化し、乾燥やニキビの予防に役立ちます(※5)。
  • ビタミンD: 骨や筋肉を支えるだけでなく、免疫機能を整える働きがあり、美容の土台を守ります(※6)。
  • ビタミンE: 強力な抗酸化作用を持ち、紫外線や酸化ストレスから肌を守り、シミ・しわの予防につながります(※7)。

アスタキサンチン

サーモンやエビなどに含まれる赤い色素で、ビタミンEの数百倍ともいわれる抗酸化力を持ちます。紫外線による肌ダメージを軽減し、エイジングケアの強い味方とされています(※8)。

MCTオイル(中鎖脂肪酸)

ココナッツなどに含まれる中鎖脂肪酸は、体内で素早くエネルギーに変換されやすく、脂肪燃焼を助けると報告されています(※9)。代謝を高めることで、美容にも直結します。

コリン

卵黄や大豆などに多く含まれる栄養素で、脳の働きや脂質代謝に関わります。脂肪肝予防にも効果が期待され、美容と健康の両面を支える重要成分です(※10)。

これらの栄養素をすべて食事から摂るのは理想的ですが、現実的には難しい方が多いでしょう。魚や野菜を毎日十分に食べることができない場合は、サプリメントを賢く活用するのがおすすめです。

参考論文

※1 厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査報告」
※2 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」並びに国民健康・栄養調査 食事状況編
※3 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」朝食欠食率データ
※4 Swanson D, Block R, Mousa SA. Omega-3 fatty acids EPA and DHA: health benefits throughout life. Adv Nutr. 2012;3(1):1-7.
※5 Ross AC. Vitamin A and retinoic acid in T cell–related immunity. Am J Clin Nutr. 2012;96(5):1166S-1172S.
※6 Holick MF. Vitamin D deficiency. N Engl J Med. 2007;357:266-281.
※7 Traber MG, Stevens JF. Vitamins C and E: beneficial effects from a mechanistic perspective. Free Radic Biol Med. 2011;51(5):1000-1013.
※8 Ambati RR, et al. Astaxanthin: sources, extraction, stability, biological activities and its commercial applications—A review. Mar Drugs. 2014;12(1):128-152.
※9 St-Onge MP, Bosarge A. Weight-loss diet including medium-chain triacylglycerol oil leads to greater fat loss than olive oil. Am J Clin Nutr. 2008;87(3):621-626.
※10 Zeisel SH, da Costa KA. Choline: an essential nutrient for public health. Nutr Rev. 2009;67(11):615-623.


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