薬剤師のとだ先生こんにちは、薬剤師のとだです。
美容や健康のために「たんぱく質」や「鉄分」を意識する女性は増えていますが、実は見落とされがちな重要栄養素があります。
それが DHA(ドコサヘキサエン酸)。
「青魚の栄養」と聞くと男性やご年配の方向けのイメージを持つ方もいますが、DHAは女性の心と身体のリズムを整える鍵 として、今注目されています。
この記事では「DHAが女性にとってなぜ大切なのか」「なぜ不足しやすいのか」「どんな摂り方が理想か」の3つの視点からお話しします。
この記事の「結論」!!
・ DHAは女性の脳・ホルモンバランス・肌を支える良質な脂肪酸
・ 現代の女性は1日300~400mg不足しており、食事だけで補うのは難しい
・ 吸収効率・酸化対策・続けやすさに優れたサプリメントで賢く補うことが鍵
1.DHAとは? 〜“脳の脂質”が女性のコンディションを支える〜
DHAは、青魚に豊富に含まれるオメガ3脂肪酸のひとつ。
体内でほとんど作ることができないため、食事やサプリでの摂取が不可欠です。
DHAは脳や神経の細胞膜に多く存在し、「考える・感じる・覚える」といった神経活動の滑らかさを保つ働きを担っています【1】【2】。つまりDHAは、“脳を動かす潤滑油”のような存在なのです。
そして、女性にとってDHAが重要なのは、脳だけではありません。
近年の研究では、以下のような関係性が報告されています:
- 気分の安定:DHA不足はセロトニンの働き低下に関与し、月経前の情緒不安定やストレス感の増加と関連【3】
- ホルモンバランス:DHAはエストロゲン代謝にも関わり、更年期症状の軽減やPMSの緩和に寄与
- 美肌への影響:細胞膜の柔軟性を高め、乾燥・炎症による肌トラブルを防ぐ
つまり、DHAは「思考」「気分」「美しさ」すべてを支える、女性にとっての“知性と美の脂肪酸”といえます。


2.なぜ女性はDHAが不足しやすいのか?
厚生労働省の基準では、DHA+EPAの推奨摂取量は 1日1g(=1000mg)。
しかし日本人女性の平均摂取量は およそ500〜600mg にとどまり、
1日あたり約400〜500mg不足(DHAでは300〜400mg) しているのが現実です【4】【5】。
なぜここまで不足してしまうのでしょうか?
▪ 魚離れと現代の食生活
共働き世帯の増加や時短調理の普及により、青魚を食卓に並べる機会が減少。
外食やコンビニ食ではDHAがほとんど摂れません。
▪ “脂質=悪”という誤解
ダイエット志向の女性ほど脂質を控える傾向があります。
しかし「良質な脂質」を取らないことがホルモンや肌の不調を招くことも少なくありません。
▪ ホルモン変動による吸収効率の差
女性ホルモンの影響で、DHAの代謝や吸収が周期的に変化します。
特に更年期や授乳期には、DHAを「胎児・乳児優先で使う」ため母体のDHAが不足しがち【6】。
つまり女性は、ライフステージそのものがDHA不足を引き起こしやすいのです。
3.どんな摂り方・サプリメントが理想?
DHAは酸化しやすく、焼き魚やフライではその多くが壊れてしまいます。
だからこそ、酸化を防いで効率的に摂取できるサプリメント が有効です。
良いサプリメントを選ぶポイントを整理しましょう。
① DHAとEPAの“黄金バランス”
DHAだけでなくEPAを組み合わせることで、血流改善・ホルモンバランス・メンタルサポートまで幅広くサポート。
DHAが「脳の潤滑油」、EPAが「血液の潤滑油」です。
② 美と健康を支える成分を一緒に
- ビタミンD : 女性ホルモン調整と骨代謝に関与。
- アスタキサンチン : 紫外線・酸化ストレスから肌細胞を守る強力な抗酸化成分。
- クリルオイル由来リン脂質 : 吸収率を高め、体にやさしく届く形。
こうした“複合設計”のサプリメントなら、1粒で美と健康の両方を支える ことができます。
③ 小粒で続けやすいこと
サプリは「続けられるか」が最大の効果決定要因。
小粒でにおいが少なく、1日1回で必要量を摂れるものが理想的です。
参考論文
1.Stillwell W, et al. Docosahexaenoic acid: membrane properties and functions. Lipids. 2003.
2.Yurko-Mauro K, et al. Beneficial effects of docosahexaenoic acid on cognition in age-related cognitive decline. Alzheimers Dement. 2010.
3.Freeman MP, et al. Omega-3 fatty acids and premenstrual syndrome: evidence and mechanisms. J Psychosom Obstet Gynaecol. 2011.
4.厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
5.厚生労働省「国民健康・栄養調査」
6.Otto SJ, et al. Maternal DHA intake and infant neurodevelopment: systematic review. Am J Clin Nutr. 2009.
7.Calder PC. Omega-3 fatty acids and inflammatory processes: from molecules to man. Biochem Soc Trans. 2017.













