オメガ3(DHA・EPA）と腸内環境 ― 薬剤師が解説！

１．オメガ3とはそもそも何？

オメガ3脂肪酸（EPA・DHA）は、青魚・クリルオイルなどに含まれる必須脂肪酸。
抗炎症作用で知られていますが、実は腸内細胞の膜の材料にもなり、腸の働きそのものに直結する栄養素です（※1）。
食事だけでは不足しがちで、特に女性は摂取量が推奨値を下回りやすいことが分かっています。

２．なぜオメガ3が腸に良いのか

① 腸の「炎症」を抑える

腸内環境が乱れると腸粘膜が炎症を起こし、
・便秘
・下痢
・ガス溜まり
・肥満
・肌荒れ
などが起こりやすくなります。

EPA・DHAは炎症性サイトカイン（TNF-α、IL-6など）を抑え、
腸の炎症を沈める“抗炎症栄養素” として働きます（※2）。

② 腸のバリア機能（腸壁）を強化

腸壁のゆるみ（リーキーガット）が起きると、
・アレルギー
・慢性疲労
・肌荒れ
につながります。

オメガ3は腸上皮細胞の膜を安定させ、腸のバリア機能を強化することが報告されています（※3）。

③ 善玉菌を増やす（腸内フローラ改善）

近年の研究ではオメガ3摂取によって

• ビフィズス菌
• アッカーマンシア菌（痩せ菌）
• 酪酸産生菌（短鎖脂肪酸を作る）

が増えることが分かっています（※4）。
これにより 腸の多様性が向上し、便通改善・ストレス軽減・肌改善 にもつながります。

④ 腸と脳をつなぐ“腸脳相関”を整える

腸内環境が乱れると、セロトニンの生成が低下し、
気分の落ち込み・イライラ・睡眠の質低下が起きやすくなります。

DHAは脳細胞膜の材料になり、腸からの信号を脳へ正しく伝えることを助けるため、
「腸→脳のコミュニケーション」を整える働きがあります（※5）。

３．具体的なエビデンス（研究結果）

腸内フローラの多様性アップ
Watsonら（※4）によると、オメガ3摂取量が多い女性は、腸内細菌の多様性が有意に高く、
特に「アッカーマンシア菌」が増加していた。

腸炎症の改善
Andradeら（※2）は、EPA・DHAが腸の炎症性サイトカインを抑え、腸疾患の症状を軽減したと報告。

腸バリア機能の保護
Ghoshら（※3）は、オメガ3投与によって腸上皮細胞のタイトジャンクション（バリア構造）が強化されることを確認。

腸脳相関の改善
Grossoら（※5）は、オメガ3摂取によってストレス・不安症状が軽減されることを示した。

4．まとめ

オメガ3脂肪酸は、腸の炎症を抑え、腸壁を修復し、善玉菌を増やす“腸活の味方”です。
とくに更年期以降の女性は腸機能が低下しやすいため、意識して摂ることで
便通改善・メンタル安定・美肌・免疫強化
といった多方面のメリットが期待できます。

魚が苦手な方は、クリルオイルや藻類DHAサプリを活用するのもおすすめです。