薬剤師のとだ先生こんにちは、薬剤師のとだです。
肌のために「コラーゲン」や「ビタミン」を意識する方は多いですが、
実は肌の土台そのものに関わる脂質も重要な役割を果たしています。
その代表が DHA(ドコサヘキサエン酸) です。
本記事では、DHAが女性の肌にどのように関与しているのかを、皮膚バリア・炎症という観点から、科学的エビデンスをもとに解説します。
この記事の「結論」!!
1.DHAは皮膚細胞の膜や脂質バリアの材料となり、肌の基礎構造を支える
2.DHAは炎症を抑える作用により、肌荒れや敏感状態の改善に関与する
3.DHAは肌を内側から支える大切な栄養素
1.DHAは「肌の構造」に関わる脂肪酸
皮膚は外側から
「角質層 → 表皮 → 真皮」
という構造を持ち、特に角質層では脂質バリアが重要な役割を担っています。


DHAは体内で細胞膜リン脂質として利用され、皮膚細胞においても膜の柔軟性や機能維持に関与します※1。
膜が柔軟であるほど、
・ 細胞間の情報伝達
・ 水分保持
・ 外的刺激への耐性
が保たれやすくなります。
そのためDHAは、
「肌表面を直接ケアする成分」ではなく、
肌の内側の構造を支える脂質として重要と考えられています。
2.炎症・肌荒れとの関係(エビデンス)
女性の肌トラブルの多くは、乾燥・摩擦・紫外線・ホルモン変動などによる慢性的な炎症と関係しています。
DHAは体内で抗炎症性メディエーターの材料となり、炎症反応を穏やかに調整する働きを持ちます※2。
実際に、オメガ3脂肪酸(DHA/EPA)を摂取した群では、
・ 紫外線による炎症反応の低下
・ 皮膚の赤み・炎症マーカーの減少
が報告されています※3。
このことから、DHAは肌荒れしにくい状態を内側から整える成分として注目されています。


3.DHAは女性の肌を「内側の構造」から支える栄養素
ここまで見てきたように、DHAは化粧品成分のように肌表面に直接作用するものではありません。
皮膚細胞の膜や脂質バリアといった肌の構造そのものに関わる脂肪酸として働く点が特徴です。
肌のうるおいや外的刺激への耐性は、角質層の脂質バリアと細胞膜の状態に大きく左右されます。DHAはその膜構造に組み込まれることで、肌が本来持つ機能を保つ土台を支える可能性があります。
また研究から、オメガ3脂肪酸(DHA/EPA)の摂取が、紫外線刺激に伴う炎症反応や皮膚状態の指標に影響を与えることが示唆されています。ただし、研究条件には幅があり、即効性や万能性を期待する成分ではない点も理解しておく必要があります。
これらを踏まえると、DHAは
「肌をきれいにする成分」ではなく、肌が荒れにくく、回復しやすい状態を内側から支える栄養素として考えられています。
生活リズムの乱れやストレス、ホルモン変動の影響を受けやすい女性にとって、DHAは外側のスキンケアを補完する“インナーケアの一要素”となり得ます。短期的な変化を求めるのではなく、日々の食事や継続的な摂取の中で、肌のベースを整える視点で取り入れることが重要です。


参考論文
※1 Stillwell W, Wassall SR. Docosahexaenoic acid: membrane properties of a unique fatty acid. Chem Phys Lipids. 2003.
※2 Rhodes LE, et al. Dietary fish oil reduces basal and UVB-generated PGE2 levels in skin. J Invest Dermatol. 1994.
※3 Calder PC. Omega-3 fatty acids and inflammatory processes. Biochem Soc Trans. 2017.













