DHA・EPAのサプリメントについて薬剤師が解説

薬剤師のとだ先生

こんにちは、薬剤師のとだです。
「青魚に含まれるDHAやEPAは体に良い」と聞いたことはあっても、実際にどんな働きがあるのか、そしてサプリメントで補う必要があるのかを正しく理解している方は少ないかもしれません。
この記事では、DHA・EPAの基礎知識、日本人の不足状況、そして良いサプリメントを選ぶためのポイント を3つの視点から解説していきます。

この記事の「結論」!!

  • DHA・EPAは、脳・心臓・血管・睡眠・メンタル まで幅広く健康に寄与する必須脂肪酸
  • 現代の日本人は 1日300〜400mg不足 しており、特に若い世代で深刻
  • 良いサプリメントの条件は、DHAとEPAのバランス、他の有用成分、小粒で飲みやすい形状、酸化防止
目次

1.DHA・EPAとは

DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、青魚に豊富に含まれる必須脂肪酸「オメガ3脂肪酸」の代表格です。

  • DHA:脳や神経の情報伝達を支え、記憶力・学習能力や視覚機能に関与する。
  • EPA:血液をサラサラに保ち、中性脂肪を低下させ、炎症を抑制することで心血管の健康を守る。

近年では、これらの栄養素が 睡眠の質や気分の安定にも寄与する可能性 があることが報告されており、オメガ3脂肪酸の役割はますます広がっています【1】【2】。

2.日本人はどのくらい足りていないのか

厚生労働省は「DHA・EPAを合わせて 1日1g(=1000mg)以上」を目安に摂取することを推奨しています【3】。

しかし、国民健康・栄養調査によると、日本人の平均摂取量は 600〜700mg程度 にとどまり、1日あたり300〜400mg不足 しているのが現状です【4】。

特に20〜40代の若年層では魚離れが進み、500mg未満しか摂れていない人も少なくありません。推奨量の半分程度しか摂取できていない層も存在し、将来的な動脈硬化や心疾患リスクが懸念されています。

さらに、DHA・EPAは酸化しやすく、調理や保存の過程で失活しやすいという性質もあります。そのため、食事だけで安定的に必要量を確保するのは難しく、効率よく補えるサプリメントの利用が現実的な手段となっています。

3.どんなサプリメントを選ぶべきか?

DHA・EPAサプリは数多く存在しますが、「どれを選ぶか」で効果や続けやすさが大きく変わります。選び方のポイントを整理しましょう。

① DHAとEPAをバランス良く含む

  • DHAのみ、EPAのみの製品もありますが、両方を配合したサプリ が理想です。
  • DHAは脳・神経、EPAは心血管と作用部位が異なるため、両方を摂ることで全身をトータルにサポートできます。

② 他の原料も一緒に摂れる

  • ビタミンD:脂溶性ビタミンで吸収効率を高め、骨や免疫の健康維持にも寄与。
  • アスタキサンチン:強力な抗酸化作用で、酸化しやすいDHA・EPAを守る。
  • リン脂質(クリルオイル由来など):水に溶けやすく、吸収効率を高める。

こうした複合設計のサプリは「1粒で多方面にアプローチできる」点が強みです。

③ 小粒で飲みやすい

  • DHA・EPAは油性のためカプセル化されますが、大粒だと飲みにくく、続けにくい原因に。
  • 小粒で1日1回摂取で必要量を満たせる設計 は、継続率を高める大きな要素です。

④ 酸化対策が徹底されている

  • DHA・EPAは酸化に弱いため、窒素充填やアルミパウチ包装で酸化を防いでいるかが重要。

⑤ 原料の安全性

国際基準(例:IFOS認証)をクリアした高純度原料 を使用している製品を選ぶと安心です。

魚油由来のサプリでは、重金属や環境汚染物質の混入リスクが課題となっています。

参考論文

※1:Montgomery P, et al. Fatty acids and sleep in UK children: randomized controlled trial of DHA supplementation. J Sleep Res. 2014.

※2:Grosso G, et al. Omega-3 fatty acids and depression: scientific evidence and biological mechanisms. Oxid Med Cell Longev. 2014.

※3:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

※4:厚生労働省「国民健康・栄養調査」

※5:Stillwell W, et al. Docosahexaenoic acid: membrane properties and functions. Lipids. 2003.

※6:Yurko-Mauro K, et al. Beneficial effects of docosahexaenoic acid on cognition in age-related cognitive decline. Alzheimers Dement. 2010.

※7:Yokoyama M, et al. Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolaemic patients (JELIS). Lancet. 2007.

※8:Bhatt DL, et al. Cardiovascular Risk Reduction with Icosapent Ethyl for Hypertriglyceridemia (REDUCE-IT). N Engl J Med. 2019.


薬剤師こだわりの健康食品


この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次