EPA・DHAのもつ抗炎症効果とは?-薬剤師が解説-

薬剤師のとだ先生

「朝からなんとなく体がだるい」「関節が重い」「肌の調子がイマイチ」──そんな“なんとなく不調”の正体は、“炎症”かもしれません。
風邪や怪我のように目に見える炎症とは違い、現代人の体内では「気づかないレベルの炎症=慢性炎症」が静かに進行していることが、近年の研究で分かってきました。
その炎症の火種を鎮めるカギが、EPA・DHA。
この記事では、細胞レベルから体を整える「抗炎症脂肪酸」としてのEPA・DHAの働きについて、わかりやすく解説します。

この記事の「結論」!!

EPA・DHAは、体内で“炎症の火消し役”として働くオメガ3脂肪酸
慢性的なストレスや食生活の偏りにより、現代人は炎症体質に傾きがち
抗炎症や吸収設計に優れたEPA・DHAサプリで、内側からすこやかにリセット

目次

1.実は誰にでも起きている?“見えない炎症”

「炎症」と聞くと、風邪や傷、発熱などを思い浮かべる方が多いと思いますが、
最近注目されているのが、自覚症状のない“慢性炎症

この慢性炎症は、加齢・ストレス・脂質の摂りすぎ・睡眠不足・腸内環境の乱れなどで、免疫バランスが乱れた状態が続くことで起こります

体内で静かに炎症が続くと、

  • 疲れやすい・だるい
  • 肌荒れ・くすみ
  • 血糖値・コレステロールの上昇
  • 生活習慣病のリスク増加

といった「なんとなく不調」や病気の火種になります【1】。

2.現代人が“炎症体質”になりやすい理由

厚生労働省はDHA本来、炎症は一時的な免疫反応であり、自己修復のプロセスでもあります。
しかし現代では、その炎症が「鎮まりにくくなっている」のです。

その原因として、

  • オメガ6脂肪酸の過剰摂取(揚げ物、スナック菓子、加工食品)
  • 魚離れによるオメガ3不足(EPA・DHAの摂取低下)
  • 慢性的なストレス(炎症性サイトカインの増加)

などが挙げられます。

特にオメガ6とオメガ3のバランスが崩れると、体は炎症性のプロスタグランジンを作りやすくなり、慢性炎症が加速するという指摘もあります【2】。

つまり、現代人の体は知らず知らずのうちに“火種がくすぶっている”状態に陥りがちなのです。

3.EPA・DHAが“炎症”に効くメカニズム

EPA・DHAは、魚に含まれるn-3系脂肪酸(オメガ3)で、炎症の抑制に直接関与する生理活性脂質です。

EPAは“炎症性物質”の材料を置き換える

EPAは、体内でアラキドン酸由来の炎症性物質(プロスタグランジンE2など)の産生を抑え、
抗炎症系のプロスタグランジン(PGE3)やレゾルビンを生成することで、炎症を自然にしずめていきます【3】。

DHAは“解決”を促す「SPM(特殊化脂質メディエーター)」の材料に

DHAは“炎症の終息(解決)”を導く特殊な物質「レゾルビンD・プロテクチン・マレシン」の原料となります。
これらは「解決脂質(SPM)」と呼ばれ、炎症の完了スイッチとして近年注目されています【4】。

4.抗炎症を狙ったEPA・DHAの摂り方とは?

食事だけでは不十分。だからこそサプリで補う

厚生労働省はEPA+DHAを**1日1g(1000mg)**摂るよう推奨していますが、
日本人の平均摂取量は600〜700mg程度で、300〜400mgほど不足しているのが現実です【5】。

焼き魚や揚げ物では酸化により有効成分が減少するため、酸化を防いだ純度の高いサプリメントが有効です。

リン脂質型、MCT、アスタキサンチン配合などを選ぶと吸収効率・抗酸化性が高まる

  • リン脂質型DHA:細胞膜との親和性が高く、脳・臓器に届きやすい
  • MCT(中鎖脂肪酸):脂溶性成分の吸収を促進
  • アスタキサンチン:酸化からEPA・DHAを守る強力な抗酸化物質

続けられる形状も大切

継続は力なり。
1日1回、小粒、においの少ない設計のカプセルで、“続けられる抗炎症ケア”を目指しましょう。

参考論文

  1. Calder PC. Omega-3 fatty acids and inflammatory processes: from molecules to man. Biochem Soc Trans. 2017.
  2. Simopoulos AP. The importance of the ratio of omega-6/omega-3 essential fatty acids. Biomed Pharmacother. 2002.
  3. Serhan CN et al. Resolution of inflammation: the beginning programs the end. Nat Immunol. 2007.
  4. Calder PC. Specialized pro-resolving mediators: novel regulators of inflammation. Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 2013.
  5. 厚生労働省「国民健康・栄養調査」

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