薬剤師のとだ先生こんにちは、薬剤師のとだです。
DHA・EPAは同じ量を摂っても、「体感に差が出る」「続けやすさが違う」と感じることがあります。
この違いを分ける要素のひとつが、脂質の“形”です。
クリルオイルが注目される理由としてよく挙げられるのが、リン脂質型DHA・EPAという特徴。
本記事では、この“リン脂質型”とは何か、なぜ吸収や体感の違いにつながるのかを整理します。
この記事の「結論」!!
1.クリルオイルのDHA・EPAはリン脂質型で存在する
2.リン脂質は体内で使われる脂質構造に近く、なじみやすい
3.「量」だけでなく「形」が、吸収や体感に影響する
1.脂質には「形の違い」がある
一般的な魚油に含まれるDHA・EPAは、
中性脂肪(トリグリセリド)型として存在しています。(下図:左)
一方、クリルオイルのDHA・EPAは、
リン脂質型として存在している点が大きな違いです。(下図:右)


リン脂質は、
・ 水になじむ部分
・ 油になじむ部分
を併せ持つ構造をしています。
この構造は、人の体内でも細胞膜を構成する基本的な脂質として使われています。
つまりリン脂質は、体にとって“見慣れた形”の脂質と言えます。
2.リン脂質型が吸収に影響する理由
脂質は体内で、
「消化 → 乳化 → 吸収」という段階を経て利用されます。
リン脂質は、この過程で自然に乳化されやすいという性質を持ちます。
そのため、消化管内で脂質が分離しにくく、吸収に進みやすい状態が作られます。
実際に、クリルオイルと魚油を比較した研究では、
同量、あるいはそれ以下の摂取量でも、血中のオメガ3指数が同程度に上昇したことが報告されています(※1)。


これは、「多く摂る」よりも「体内でどう使われるか」が重要であることを示唆しています。
3.「体感の違い」は構造の違いから生まれる
リン脂質型オメガ3は、
細胞膜と親和性が高いことから、体内での利用効率に影響する可能性があります。
このため、
・ 胃の不快感が出にくい
・ におい戻りを感じにくい
・ 継続しやすい
といった体感の違いにつながるケースがあります。


重要なのは、
クリルオイルが「特別な成分」だからではなく、もともと体が使っている脂質構造に近いという点です。
DHA・EPAを考える際には、含有量だけでなく、
どんな形で体に入るかにも目を向ける必要があります。
参考論文
※1 Ulven SM, Holven KB. Comparison of bioavailability of krill oil versus fish oil. Lipids Health Dis. 2015.
※2 Schuchardt JP, Hahn A. Bioavailability of long-chain omega-3 fatty acids. Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 2013.
※3 Stillwell W, Wassall SR. Docosahexaenoic acid and membrane properties. Chem Phys Lipids. 2003.













